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『個人』が投資で成功するための秘訣とは? 金融庁長官コメントから 後編

金融庁長官が日本の資産運用ビジネスにおいて『販売者の論理』が横行している事について警鐘を鳴らしました。正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品、顧客の利益が軽視され、顧客の資産を増やすことが出来ないビジネスに意味があるのかを問うたのです。

なお本稿では長官コメントの引用部分を「 」、それ以外を『 』として表記します。

 

■長官が引用した『個人が投資で成功するための秘訣』とは?

 

金融庁長官が、個人が投資で成功するための秘訣として引用した内容があります。投資家にとって知っておいて損は無いでしょう。そのキーワードは『複利、コツコツ、分散、コスト』となります。資産運用で著名なバートン・マルキールとチャールズ・エリスの共著の内容を以下のように紹介しました。

 

「・ゆっくりと、しかし確実にお金を貯める秘訣は再投資(複利)にあることを認識すること、

・市場の値上がり、値下がりを気にかけず、一定額をこつこつと投資すること、

・資産タイプの分散を出来るだけ図ること、

・市場全体に投資するコストの低い『インデックスファンド』を選ぶこと」

 

■積立NISAの対象になる投信は?

 

来年1月から開始される積立NISAは、個人の資産形成を支援するための税制上の優遇措置であることを前稿で紹介しました。

投信の99%は顧客本位でない? 金融庁長官コメントから 前編

 

積立 NISA の投資対象になりうる投信についてはワーキング・グループで検討したのですが、マルキールとエリスの思想が反映されたものでもあるのです。

 

その結果、この基準を満たした投信はわずか1%弱、換言すれば99%の投信は基準外だということになりました。そして長官はこう述べたのです。

 

「資産運用の専門家が、個人の安定的な資産形成に資すると勧める特徴を持った投信がこれだけ少ないという事実は、我々も業界も深刻に受け止める必要があると思います」

 

■日本の投信の運用コストは高い

 

筆者が述べ続けていることですが、投資のコストは運用のリターンに影響します。高いコストを上回る運用を上げて、初めて投資家のリターンがプラスになるわけです。長官はコスト構造についても事実を語りました。

 

「本年2月の我が国における純資産上位 10 本の投信をみてみると、これらの販売手数料の平均は 3.1%、信託報酬の平均は 1.5%となっています。世界的な低金利の中、こうした高いコストを上回るリターンをあげることは容易ではありません」

 

■アクティブ型投信は9割市場平均に負ける?

 

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発表した『Spivaスコアカード』の内容を、日本の金融業者が語る機会はまずほとんどないででしょう。投資家がこの事実に気づくと投信販売が減少する恐れがあるからです。

 

2016年12月31日までの15年間で市場平均(ベンチマーク、インデックス)に届いていないファンド・マネージャーの割合は以下です。大型株92%、中型株95%、小型株93%。この事実を知って、受けた説明と全く違うという印象を受ける方々も多いと思います。なぜ印象が違うのでしょうか。

 

■キーワードは手数料控除後

 

キーワードは『手数料控除後』です。顧客への説明資料には、あるモデルで運用した場合のケースとして説明してありますが、『高いアクティブファンドの手数料』を支払った後のデータではないのです。表示のデータは、手数料抜きデータであることを疑うべきなのです。長官のコメントは続きます。

 

「マルキールとエリスは、インデックス投信は、一般的に、アクティブ型投信よりもリターンは高いと指摘しています」

 

「10 年以上存続している日本の株式アクティブ型投信281本の過去10年間の平均リターンは信託報酬 控除後で年率 1.4%であり、全体の約三分の一が信託報酬控除後のリターンがマイナス となっていました。ちなみに、この 10 年間で日経平均株価は年率約3%上昇しており、インデックス投信が一般的にアクティブ型投信に比べリターンが高いとのマルキールとエリスの主張は、日本株投信についても当てはまるように思えます」

 

■顧客本位とはいえない『販売者論理』はいつまで続くのか

 

高いコストの開示に不満を示す金融機関があります。一例では外貨保険の手数料が7%にもなっているのですが、顧客に開示されていませんでした。問題視した金融庁がコメントした時に、地方銀行は反対の意向を示しました。『それでは生き残っていけない』と。同じ反応が、今回の投信コストの話題でも出ることが予想されます。しかし、そもそもプロである金融機関が、知識量で劣る投資家に、『認識不十分のまま販売を伸ばすこと』自体、プロとしての倫理観に問題があるとも考えられるのではないでしょうか。長官が今回これにも言及しました。

 

 

(販売手数料、信託報酬などのコスト開示について)

「こうした話をすると、お客様が正しいことを知れば、現在作っている商品が売れなくなり、 ビジネスモデルが成り立たなくなると心配される金融機関の方がおられるかもしれません。 しかし、皆さん、考えてみてください。正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作って一般顧客に売るビジネス、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、 顧客の資産を増やすことが出来ないビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるものですか?こうした商品を組成し、販売している金融機関の経営者は、社員に本当に仕事のやりがいを与えることが出来ているでしょうか?また、こうしたビジネスモデルは、果たして金融機関・金融グループの中長期的な価値向上につながっているのでしょうか?」

 

「顧客である消費者の真の利益をかえりみない、生産者の論理が横行しています。特に資産運用の世界においては、そうした傾向が顕著に見受けられます」

 

■なぜ公募投信の99%は顧客本位でないのか?

 

「何故、長年にわたり、このような『顧客本位』と言えない商品が作られ、売られてきたのでしょうか? 資産運用の世界に詳しい方々にうかがったところ、ほぼ同じ答えが返ってきました。日本の投信運用会社の多くは販売会社等の系列会社となっています。投信の運用資産額でみると、実に 82%が、販売会社系列の投信運用会社により組成・運用されています。 系列の投信運用会社は、販売会社のために、売れやすくかつ手数料を稼ぎやすい商品を作っているのではないかと思います」

 

投資家自身が、金融庁長官の投資家への親身なメッセージを理解し、『顧客本位の投資のパートナー』を選ぶ必要性が改めて明らかになったといえると思います。